2009年1月15日木曜日

あけましておめでたいことなんて何にもないのですが、

今日はとにかくウロウロしました。

寒風すさぶ綾小路通りを右往左往。

ずっと気になっていたコーヒースタンド「ポロ」。

細長いお店に入ると着物の奥様がひとりオムライスを頬張っていらっしゃる。

飛び交う京ことば。

ぼくは黙って日記をめくるだけ。

ふと、背筋を伸ばしてみると後ろの壁に後頭部がつく。

カウンター席の幅は半間にも満たない。

後ろの壁がそのまま椅子の背もたれになるような、そんな空間。

さっと入ってさっと去る。

それがここでの作法。

まさに一服の極致。

24時間制の暮らしの中でほんの5分を喫茶に費やす。

その5分の持つ意味と意義。

細長い店を出て、さらに西。

真っ赤なテントが現れる。

「喫茶 JUN」。

「喫茶 JUN」とは書いてあるものの、目の前にあるのは暗いトンネルだけ。

二十三年来のちんけな想像力がこのトンネルの先に喫茶店が存在することは想像できるのだけれど、それにしてもどうでしょうこの重力の差は。

一方、都市裏のタクシー行き交う喧噪通り、他方、トンネルの先に見える小春日和を独り占めしたような一点の光。

おそらく実際にこの景色の前に立ってみなければ分からないかと思いますが、本当にあるのです。

真っ赤なテントに仕切られた真っ向から対立したふたつの磁場が。

トンネルを抜けると、喫茶店が現れる。

想像してはいたのだけれど、トンネルをくぐっているうちに忘れてしまっていました。

でも現れた喫茶店は想像よりもはるかに異空間にありました。

ほとんど無意識に扉を開けて、奥の窓際の席に腰掛ける。

そしてこれまたほとんど条件反射でホットコーヒーを頼んでしまう。

つい数分前に”ポロ”でコーヒーを飲んだというのに。

半ば仕方なく新聞を広げていると、子守唄のようにかすかなBGMとともに石油ストーブの燃える匂いが漂ってくる。

ああ冬の匂い。

幼少期の冬のあたたかな記憶はストーブの匂いとおもに記憶されていることに今更ながら気付く。

しばし感性を研ぎすませていると、いつの間にかテーブルの上にはコーヒー。

湯気が立っている。

冬の一日っていつもこんな感じだよなーとか思う。

今年もよろしくお願い致します。

そのうち今日のレポートをお届け致します。

では、よい今宵もお茶を。

平成21年 年頭挨拶より

いわたにあつし