いくつか書き忘れている喫茶店について書く。
というか喫茶店を回るペースに書くペースがぜんぜん追いつかない。
やっと追いついたと思ったら、もう1年以上経っている有り様。
そしてこの1年のぐーたらを最も悔やむべき喫茶店が1軒。
「コロラドコーヒーショップ 泉涌寺店」
久しぶりに、去年の秋に店を訪ねてみるとドアに一枚の張り紙が。
「当分の間 お休みします」
その言葉を見て、胸がゾクンとした。
ガラス張りのドアから店内を覗くと、ぼくが一度だけ座ったソファが目に付く。
初めて入ったとき、絶妙なアングルでぼくの顔面に送風されるエアコンの熱風に襲われながら
コーヒーを飲んだことを思い出す。
あの時はあんなに暖か(暑)かった店内が嘘のようにひんやり沈んでいる。
もうあの席から道路を行き交うトラックやショッピングカートを曳いたおばあさんや弱々しい冬の光やらは見れなくなるのだ、と刹那に感じた。
悲しいというか悔しいというか。切ない。
それには一層の訳があって、実はその時ぼくのカバンにはいつか撮らせてもらったご主人と奥さんの写真がしまってあり、今日はその写真をおふたりに手渡すつもりだったのだ。
下の写真がその写真だ。
手渡すことは難しいと思うのでこちらに掲載させていただきます。
ぼくにとってここは何から何まで理想の喫茶店だった。
こじんまりとした店構え、表通りの喧騒と店内の静寂、手作りの座椅子カバー、阪神タイガース、競馬グッズ、コーヒー豆、使い込まれた道具類、何十年も通いつめた常連客の腕組み、ご主人と奥さんの距離感などなど。
エアコンの風がなくてもぼくの顔は紅潮していたに違いない。
ああ、もう一度あそこに座りたい。