2008年11月20日木曜日

樹石 [堀川今出川]



同志社新町キャンパスの裏に一軒の喫茶店がひっそりとあります。

チェリオの文字が圧倒的な存在感を示す看板に書かれたその店の名前は「樹石」。

みどりの窓口のようなキュートなひさしがまるで大樹に繁る葉のようでもあり、外壁の白いタイルが白亜の白大理石のようでもあり、なるほど「樹石」と納得できるようなできないような外観はまさしくローカル喫茶店。

就活スーツに身を固めたぼくは、まるで営業マンの小休止のごとく手慣れた挨拶で入店。

「こんちはー」

もちろん初入店。
つまり「樹石」はそれだけ親しみのわく雰囲気を醸し出しているのです。

というわけでノリノリで入ったお店はなんともぬけの殻。
あれ、まさか留守?と思ったけれど、しばらくすると「ごめんね〜、今、上に上がったとこやったわぁ」と階段から小さなお母さんがひょっこり現れてひと安心。

気さくなお母さんで、ぼくらはペチャクチャ世間話しながら、お母さんはぼくの遅めのモーニングをテキパキつくり、ぼくは店内をしみじみ見回す。

やかんの乗ったストーブ、蔦がからまった窓、そして何より存在感があるのがカラオケマシン。

「最近はあんまり歌わないのよ」と言いつつ、テープ式の旧いナショナルのマシンと新しいテレビカラオケの二台が設置されていて、お母さんの自慢の唄声が聞こえてくるようです。

ふと、窓の外を見ると、本格的な機材をかかえたカメラマンが隣の駄菓子屋を撮影していました。
「こっちの喫茶店もいい味出してるになぁ」と思いながらぼくは最後のコーヒーを飲み干し、「いってきます」とまた常連のように「樹石」を後にしました。

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樹石
上京区油小路上立売(地図

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